黒漆蝶形三足卓(来迎会本尊用)
くろうるしちょうがたさんそくたく(らいごうえほんぞんよう)
概要
いずれも檜材製、黒漆塗りの大形の仏前用卓で、甲板は前部を稜花形に、後部を刳り込んで羽を広げた蝶の形に作っている。また三方に細長い鷺足を付けており、上部に欄額を設けて格狭間【こうざま】を透かし、足の付け根には葉状の持送りを付けている。
この種の蝶形卓は主に浄土教系の寺院で用いられていたらしく、鎌倉時代の国宝・法然上人絵伝(知恩院蔵)、国宝・当麻曼荼羅縁起(光明寺蔵)、重文・刺繍種字阿弥陀三尊掛幅(輪王寺)などに散見され、それぞれ密教の一面器や三具足などを置いた様が描かれている。ただ現存の遺例はごく少なく、中世以前としてはわずかに白鶴美術館(平安時代末)と金剛寺(鎌倉時代)の卓が重要文化財に指定されているほか、二、三を数えるにすぎず希少である。
浄土寺の浄土堂は建久三年(一一九二)の建立といわれ、本尊の国宝・木造阿弥陀如来及両脇侍立像(中尊像高五三〇・〇センチ)は建久八年(一一九七)開眼供養が行われている。また同じ浄土堂内の北側に安置されていた(現在は収蔵庫内に安置)来迎会本尊の重文・木造阿弥陀如来立像(像高二六六・五センチ)は建仁元年(一二〇一)の造立とされている(『浄土寺縁起』)。
本卓も仏像に合わせて極めて大形であり、造形的にも雄壮な感が強いが、まだ平安時代後期の遺例に多く見られる優美な鷺足の形態をよく伝えており、その作期も各尊像の造立からさほど下らぬ時期の製作になると考えられる。
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