厚板 藍萌黄段槌車鱗模様
あついた あいもえぎだんつちぐるまうろこもよう
概要
これは、日本の伝統芸能である能で使われる、「厚板」という名前の装束です。もともとは中国から輸入された重厚な高級織物の名前でした。厚みがあるため細くロール状に巻くことができず、厚い板に巻かれていたことから、その名前がつきました。16世紀後半、安土桃山時代頃からは、京都・西陣で織られるようになります。能では、主役である「シテ」が男性の役を演じる際に、法被(はっぴ)や狩衣(かりぎぬ)などの表着(うわぎ)の下に着用します。
デザインを見てみましょう。地は、青色と緑色で市松模様のようにたがいちがいに色分けされており、三角形を連ねた鱗(うろこ)の模様があらわされています。龍の鱗を模様にしたと言われる鱗模様は、龍神などの鬼神の役にふさわしいものでしょう。その上に色違いで織りあらわされている模様は、水車のように見えますが、よく見ると先のほうに付いているのは、水をくむ「柄杓」(ひしゃく)ではなく、物を打ち付ける「槌」(つち)です。槌車は実際には存在しないものですが、そのいかにも力強い感じから、男性役の衣装である厚板の模様に好まれました。それにしてもデザインといい色の対比といい、奇抜で派手な印象です。動きやすいように表着(うわぎ)の右袖を脱いで、厚板の袖が見えるように着付けるため、江戸時代中期、18世紀以降になると、日本の織物の発達とともにこのように華やかな模様が織られるようになったのです。
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