紺地龍牡丹唐草文様緞子 珠光緞子
こんじりゅうぼたんからくさもんようどんす しゅこうどんす
概要
15世紀から16世紀、中国・明時代に製作された、緞子(どんす)の裂(きれ)です。「緞子」とは、一般的にあらかじめ染めておいた絹糸を用い、繻子織(しゅすおり)で文様を織り出した織物を指します。中国などからもたらされた染織品は、裂と呼ばれる断片となっても、その由来とともに大切に受け継がれてきました。特に江戸時代以降、茶人の間では、こうした珍しい裂は、茶道具の包みや茶席に掛ける掛け軸の表具に使用され、「名物裂(めいぶつぎれ)」として珍重されました。この作品も名物裂のひとつです。
この作品には、藍色の地に、かなり褪色していますが黄色の緯糸(よこいと)で細い蔓(つる)が四方に伸びた牡丹唐草(ぼたんからくさ)と、その間に躍動する龍と火焔宝珠(かえんほうじゅ)が表されています。この龍は、小さく詰めこまれたように表されており特徴的です。名物裂では、綾織(あやおり)や平織(ひらおり)の地に文様を織った裂も広く「緞子」と呼びますが、この作品は本来の定義に準じた、繻子織で織られています。繻子織で藍色の経糸(たていと)を長く浮かせることで、柔らかく光沢のある絹地を織り出しています。同様に、緯糸にも絹糸を用い繻子織とすることで、牡丹唐草と龍の文様を表しています。
「珠光緞子」の名は、15世紀から16世紀の茶人であった村田珠光(むらたじゅこう)が、室町幕府第8代将軍の足利義政より下(くだ)された羽織(はおり)の生地文様に由来するといわれています。このことは、名物裂と茶の湯の関係性をうかがわせます。この作品は、現在の石川県にあたる加賀藩を治めた、前田家に伝わっていたものです。絹織物のなめらかな質感と動きのある文様を楽しみながら、当時の茶の湯の文化にも思いをはせてみてください。
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