行書三帖巻
ぎょうしょさんじょうかん
概要
この巻物は、北宋の時代に活躍した米芾(べいふつ)という書人の3つの書を1巻にして表装したものです。
1つ目の叔晦帖(しゅくかいじょう)は、文芸の友であった余叔晦(よしゅくかい)との別れ際に、米芾が秘蔵の品を贈り、そこに書き付けたものです。米と余の両家は、米芾の父の代から親交がありました。この書き付けでは、いつか両家の子孫が逢った時の記念にしようと述べており、文末には両者の子の名前を列記して、三世代にわたる両家の親交を記念したものと考えられています。署名の文字の形から、改名する41歳以前の書であることがわかります。
2つ目の李太師帖(りたいしじょう)は、李瑋(りい)という人物が所蔵していた、複数の古人の書のうち、3名の書について批評したものです。米芾の書の好みが窺えて興味深い内容です。
3つ目の張季明帖(ちょうきめいじょう)は、入手した秋深帖(しゅうしんじょう)という書跡について、これが唐時代、7世紀から8世紀ころの書人であった張旭(ちょうきょく)の、最も優れた書であると述べたものです。秋深帖の原本の書きぶりにならって書いたものと思われますが、より時代のさかのぼる、4世紀ころの東晋(とうしん)時代の書にも似た様式がみられます。
米芾は若いころ、いにしえの人の字を集めた「集古字(しゅうこじ)」と自らを呼んだほど、早くから王羲之(おうしぎ)や王献之(おうけんし)、更に魏(ぎ)や晋(しん)時代の書を、熱心に学びました。この3つの書も、王羲之や王献之の書をふまえたものですが、筆圧やスピードを巧みにコントロールして線の太さの変化を際立たせたり、文字を左に傾けて躍動感のある字姿にするなど、米芾独特の書きぶりがみられます。行書に優れた米芾の代表的な作品の一つです。
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