吉野宮蒔絵書棚

よしののみやまきえしょだな

概要

吉野宮蒔絵書棚

よしののみやまきえしょだな

漆工 / 江戸

江戸時代・18世紀

木製漆塗

幅90.0 奥行37.5 高75.5

1基

 これは書棚です。現代の本棚のように本をぎっしりと詰め込む実用の品ではなく、書物を美しく飾り、特別な空間を演出するための棚です。棚自体は木製で、そこに漆の樹液の塗料で図柄を描き、その上に細かい金粉や銀粉を蒔きつけ定着させて文様を表しています。このような技法を「蒔絵」と呼びます。
 天板には桜の景色が広がり、右下の観音開きの扉には庭園と舎殿があらわされています。この作品の楽しみ方は、じっくりと近づいてなめるように細部を見ることです。遠目には全体が金色に見えますが、近づくと、かずかずの素材や技法が豪華に盛り込まれていることがわかります。たとえば同じ金色でも、右下の扉に描かれた舎殿の廊下やすぐ下の地面と、背景の空とでは雰囲気が違います。前者はとても細かい金粉を蒔きつめた後に磨いてツヤを出していますが、後者は大きなフレーク状の粉を大量に蒔くことで、ざらっとした質感を出しています。また、観音開きの扉の左下に盛り上がる鮮やかな赤い椿の花は、珊瑚を文様の形に加工したものを嵌め込んであらわされています。他にも扉の蝶番や、天板や棚板の四角の側面に見える梅の枝の鮮やかな色合いには、金属にガラス質のコーティングを焼きつけた七宝の技法が使われていたりと、素材や技法の「全部のせ」といった豪華さは、この時代の特徴でもあります。
 このような工芸品は、見るだけでなく、使うものでもあります。冊子を載せる、扉を開けるといった、使う際の距離感で見た時にこそ気がつく細部の工夫が、一番の見どころです。ぜひ、使い手になった気分で、近い距離からじっくりと細部を楽しんでください。

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