向上寺三重塔
こうじょうじさんじゅうのとう
概要
向上寺三重塔 一基
向上寺は応永十年(一四〇三)仏通寺の愚中周及(一三二三~一四〇九)を開山として創立された禅宗寺院である。寺地は瀬戸内海生口島の西北部にあたり、瀬戸田港をのぞむ高台にある。塔は本堂裏の山腹にあり、永享四年(一四三二)の建立である(墨書)。三間三重塔婆で、和様を取り入れた禅宗様の手法を用いている。各重に火燈型を配し、高欄柱及び藁座など異色ある形式になり、内部の須弥壇及び天井なども特色のある意匠である。また肘木鼻や隅木持送りの彫刻なども巧みな手法を示している。建立後の沿革については明らかでないが、部材がほとんど当初材である点からみて、大修理を受けず今日に至ったとみてよい。
この三重塔は建立年代が明らかなうえ、禅宗寺院の塔として数少ない遺構の一つであって、禅宗様の手法がきわめて濃厚であり、かつその様式にも特色があるので、建築史上貴重な遺構である。
【引用文献】
『国宝事典[第四版]』(便利堂 二〇一九年)
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