安楽寺八角三重塔

あんらくじはっかくさんじゅうのとう

概要

安楽寺八角三重塔

あんらくじはっかくさんじゅうのとう

宗教建築 / 鎌倉 / 中部

長野県

鎌倉後期/1275-1332

八角三重塔婆、初重もこし付、こけら葺

1基

長野県上田市大字別所

重文指定年月日:18981228
国宝指定年月日:19520329

安楽寺

国宝

安楽寺八角三重塔 一基

上田盆地の西はずれ、別所温泉近くの山麓にある安楽寺は、弘安年間(一二七八-一二八八)に開かれた臨済宗寺院で鎌倉建長寺との関係が深い。三重塔は本堂の一郭から離れた後方の高いところに独立して建っており、建立に関する資料はないが、様式手法上、鎌倉時代末乃至南北朝時代と考えられる。
初重に裳階をつけた八角形の塔で、四角い塔をみなれた目にはやや奇異にうつる。様式は全体が禅宗様の手法でできていて、初重と裳階の柱は礎盤上に立ち、組物は裳階出組、母屋三手先でいずれも詰組、軒はすべて二軒扇垂木とする。尾垂木は上下二本とも水平材からつくり出しており、上方を斜の材とする禅宗様の普通の手法とはちがう。内部は母屋側柱に二手先組物を組み、裳階は土間床で、化粧屋根裏天井とし、母屋は前面に板を張って仏壇にしており、八角円堂に似た構成となる。母屋の天井は鏡天井であるが少々複雑で、小さな二手先組物を組んで中央部を折上げており、組物下には台輪・頭貫が回り、柱頭部が釣束のように取りついている。これは母屋の入側柱を省略し、その組物が退化したものと考えられる。母屋側柱の組物上には短い柱を立てて三手先組物を組むが、これが外からみえる部分である。
この塔は現存唯一の八角塔であり、初重の側柱や天井に独特の手法がみられる。鎌倉系の本格的な禅宗様でできており、伽藍配置も含めて臨済宗寺院の塔のあり方の一つを示している。

【引用文献】
『国宝大事典(五)建造物』(講談社 一九八五年)

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