花籠形釣香炉

はなかごがたつりごうろ

概要

花籠形釣香炉

はなかごがたつりごうろ

金工 / 江戸

江戸時代・19世紀

銀・陶板・珊瑚など 鍛造 象嵌

1基

 これは、花をいれる籠の形をした香炉です。材質は、銀を主体として作られています。花籠は銀の線をまさに籠のように編みあげ、銀の薄板で作った菊の花や葉を活(い)けています。長い葉と赤い実の植物は「万年草」(おもと)といい、好んで栽培されました。枯れることなく、年中緑の葉をつけることから、縁起がよい植物として好まれたのです。その赤い実は、珊瑚(さんご)を削ったものです。小鳥たちは、今にも動き出しそう。この鳥も銀製ですが、嘴(くちばし)は銅製です。陶器で作った二匹の蝶々が、なんとも愛らしい姿です。
 このように金属の薄い板でパーツを作り、接着してモチーフの形を作ったり、色の異なる金属や別の材質を使って装飾する技法は、「錺」(かざり)といい、当時の櫛(くし)や簪(かんざし)などの装身具に見られるものです。色は実物とは異なりますが、リアルな編み籠や花、鳥を、あえて金属で再現しようとしたところが、この作品の面白さです。
 江戸時代も17世紀半ば以降は、戦乱もなく安定した世情となり、経済と都市の発展、学問の進化、芸術文化の多様化が、急速に進みました。金属を用いて物を作る金工(きんこう)においても、材質・技法ともに多種多様化が進んだ時代でした。それまで寺院で使う道具や、武器・武具などの制作を担っていた金工の材質や技法が、町人や商人などの新しい使用者を対象とし、生活用品・文房調度・建築金具などのより幅広い「モノづくり」に向けられたことも一因でしょう。この作品は、そうした時代性をよく示しています。

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