『気億鏡 天・地・人』(筆写本)
『きおくかがみ てん・ち・じん』(ひっしゃぼん)
概要
『気億鏡 天・地・人』(筆写本)
『きおくかがみ てん・ち・じん』(ひっしゃぼん)
すべて縦24.5×横15.8cm
千代田区隼町4-1 国立劇場
登録番号:798
六代目鶴澤友次郎旧蔵資料
解説:田草川みずき(千葉大学准教授)
独立行政法人日本芸術文化振興会
天・地・人の筆写本3巻。半丁につき八行の罫紙に、作品の本文と、三味線譜である「朱」を記したもの。各巻の前表紙見返しには、明治45年(1912)2月の年記と、「猿糸改/六代目鶴澤友治郎」の署名がある。ただし、後ろ表紙見返しには豊澤猿糸(六代目友次郎の前名)による明治32年(1899)1月の年記もあり。
天之巻冒頭の目録には、「曽我草摺引」「傾城反魂香」「芦屋道満大内鑑」「鳴響安宅之新関所」「浪華之土産(新作浪華土産勧進帳)」の作品名、および場名がみられ、このうち「曽我草摺引」に、朱筆で「曽我五人兄弟(近松翁作)」との注記がある。またこの巻には、竹本義太夫にも影響を与えた古浄瑠璃太夫・宇治加賀掾の口伝として「老松」の朱も差し挟まれている。
地之巻の目録には、「奥州安達原」「於妻八郎兵衛」「太功記 十口」「赤松円心」「天網島」「摂津国長柄人柱」「大江山」「日本振袖始」「菅原」の作品名のほか、「音曲商売往来」「御祝儀高砂相生松」「祝言 高砂」の記載あり。なお、例えば本文中の「摂津国長柄人柱」には、「三代目野澤吉兵衛師朱章写ス」と注記されるなど、伝承経路も示されている。
人之巻目録の30項目には珍しいものが多々あり、中でも近松門左衛門作「百日曽我」三ノ口、「かしく(八重霞浪花浜荻)」新屋敷などは、現在の文楽で上演されていない稀曲である。『気億鏡』との書名からも、友次郎の心覚えとして作成されたと思われる本資料の朱は、文楽の伝承にかかわる重要な情報を含んでいる。さらに、人之巻末尾に置かれた「近松半二作 音曲修業伝」は、筆写本でのみ伝えられた近松半二の手に成る伝書で、前半は宇治加賀掾『紫竹集』序文とほぼ内容を同じくしている。現在報告されている「音曲修業伝」の伝本は少なく、本資料はそのうちの貴重な一本である。
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